通信総合研究所(現・情報通信研究機構)において長年に渡って受け継がれてきた蔵書が、1993年頃、大量に廃棄されることになりました。それを残念に感じた滝澤修(当時、、関西先端研究センター勤務)が個人的判断で一部を引き取り、関西先端研究センター図書室に保管しておりましたが、2001年の同センターの新研究棟の竣工により、部屋割りの見直しが行われ、保管を継続することがいよいよ困難になりました。そのため、外部機関の引き取り先をさがしていたところ、鳥取環境大学が快く引き取って下さることになり、2002年3月に譲渡が行われました。通信総合研究所の遠い前身である「陸軍通信学校」や、「逓信省電気試験所平磯出張所」、「中央電波観測所」、「電波物理研究会」およびその後身である「電波物理研究所」などの蔵書印がある戦前の古蔵書も多数含まれております。通信総合研究所で戦火をくぐり大先輩から受け継いできた蔵書を、スペースの都合や合理化の事情(恐らく独立行政法人化も微妙に影響しているでしょう)により手放すことになりましたのは、滝澤個人としては断腸の思いだったため、ここに譲渡書籍リストを掲げて記念に残しておきたいと思います。鳥取環境大学において末永くご活用いただけることを願っています。
Marconi Review 創刊号(1928年)
無線電信の父、マルコーニが設立した会社(英国)の雑誌です。マルコーニ自身による発刊挨拶が載っています。
陸軍通信学校の蔵書印
General Electric Review(1927年)より。中央下の角印は電波研究所時代に押されたものです。
電波物理研究会の蔵書印
日電月報(1941年)より。「国民精神総動員」の文字が時代を物語っています。電波物理研究会は、明治時代の物理学者として著名な長岡半太郎が会長をしていました。
電波物理研究所の蔵書印
理化学研究所彙報の創刊号(1922年)より。大河内正敏理事長の発刊挨拶が載っています。
電気通信研究所および中央電波観測所の蔵書印
終戦後、逓信省→電気通信省・郵政省・電波監理委員会、と複雑な変遷をしていた時代のものです。電気通信研究所は現在のNTT研究所、中央電波観測所は現在の情報通信研究機構小金井本部です。